God said

iPad Pro -PayPay Edition-

第1弾PayPay祭りで注文したiPad ProとSmart Keyboard Folio。あれから100日近くが経過してようやく手元に届きました。忘れた頃にやってきた新しいiPad、忘れないうちに記事にしておきます。

まず始めに断っておきますが、PayPayを悪として晒し上げる投稿ではありません。iPadの購入を後押ししてくれたむしろありがたい存在です。ただ今回の立役者であることもまた事実ですので、タイトルはクレジット表記ということでここはひとつ。


PayPay祭りとは

そもそもPayPayとは、SoftBankとYahoo! JAPANが出資し2018年10月に開始した電子決済サービスの名称です。すでにiDやQUICPayなど同種のサービスが軒を連ねている中に参入したわけですので、いくら大企業2社がタッグを組んだといえど、利用者を確保するためには何かしらの策を講ずる必要があったのだと思います。

campaign_banner画像 : 100億円あげちゃうキャンペーン(第1弾) | PayPay
そこで打ち出されたのが、このPayPay祭りこと『100億円あげちゃうキャンペーン』でした。PayPayがいきなり100億円をドンと用意し、利用者に決済額の20%を還元する形で争奪戦を仕掛けたというのが大雑把な内容です。キャンペーン期間は2018年12月4日から約4ヶ月間、100億円が無くなった時点で終了とされていました。潤沢な予算があるからこそできる力技の集客ですね。

これだけでも話題性は十分ですが、利用者の購買意欲に一層拍車をかけたのが、抽選で全額(1回10万円相当まで)が戻ってくるというガチャ要素。決済完了と同時に20%か全額かすぐ表示されたため、自分が欲しいものを買いつつハズレなしの返金ガチャを引けるという、ソーシャルゲーム大国日本の大衆心理をうまく突いた仕組みとなっていました。

しかし一部で何より注目されたのは、Apple製品も対象に含まれていたという点です。Apple製品は滅多に値下がりしないと言われる通り、このような還元・割引を謳うキャンペーンでもそれらは対象外とされることが常でした。ところがPayPayのキャンペーンでは、対応店舗で購入さえすれば全ての商品が還元対象とされたわけです。ここ最近発表されたApple製品は軒並み高額でしたから、買い渋っていた方も多いはず。多数のユーザーの目がApple製品に向けられることになりました。

そして私もその夢のようなビッグウェーブに乗ろうとした一人です。とんだ濁流でしたが。

The iPad I paid with PayPay is pending.

韻は踏めてないですね。さてここで「対応店舗」というのが気になるところ。PayPayの公式サイトに一覧があり、そのうち家電量販店は以下の通りでした。

shops画像 : 「主なご利用可能店舗」より一部抜粋 (2018年12月9日時点) | PayPay
種類はそれなりにあるものの、Apple製品目的の人はビックカメラに集まりそうなラインナップだと思います。PayPay決済でもビックポイントは別で付与されました。私も例に漏れず、ビックカメラ 名古屋JRゲートタワー店を選んでいます。

私が購入したのは2018年12月9日(日)の19:30頃、PayPayのキャンペーンが始まって最初の休日が終わろうというタイミングでした。ちょうどその日は名古屋で開催された東海スピードキュービングレクチャー会に参加していましたので、その帰りに立ち寄った形になります。

どうせ人がゴm...ごった返しているんだろうと覚悟していましたが、Appleスペースを覗いてみるとそれほど混み合っておらず、ただの土日という雰囲気。すでに栄のApple Storeで思う存分実機を触って購入の意思は固まっていましたので、早々に店員を呼び手続きをすることに。
思ったよりすぐに買えたとほくほく顔の私に、店員さんが一言。

「iPadもキーボードも入荷時期未定となりますがよろしいですか?」

ふと周りを見渡すと、壁の陳列棚にあるはずのAirPodsなど高めの周辺機器がごっそり売れて無くなっていました。詳しく伺ってみればMacから何から全て在庫切れとのこと。恐るべしPayPayの威力、私が訪ねた時にはすでに需要の嵐に根こそぎ吸い上げられ、出涸らしになった後だったようです。ただ試遊できるだけのAppleスペースとなれば、人が少ないのも納得。

しかしモノがないとはいえPayPayを使わないと意味がないので、そのまま渋々入荷予約・支払いへ。

paypay
iPadが115,333円、キーボードが21,373円、締めて136,706円。残念ながら全額還元とはなりませんでしたが、その20%の27,341円とビックポイントが1,796円分、合計で約3万円相当が戻ってきました。キーボードが実質無料になり、さらにお釣りが来ていると考えればなかなかのお得感です。

なおPayPayでの支払いは非常にスムーズで、スマホさえ出しておけば初めてでも滞りなく済ませられます。PayPay決済専用のレジが用意されていたこともあり、PayPay特需真っ只中でありながらほとんどレジで待つことはありませんでした。むしろiPadの入荷予約のために、注文書を握りしめてサービスカウンターに並んでいた時間のほうがよっぽど長かったです。

待ち人来ず 便りなし

しかし本当に長いのはここから。正直なところ未定といえど、クリスマスあたりには届くだろうと高を括っていました。12月末に投稿した日本大会の記事も帰路の空き時間を使ってiPadで書く予定だったくらいです。ところが待てど暮らせど連絡はなく、日本大会はおろか年も明け、気づけば平成の終わりが見え隠れするまでに。

一方PayPay祭りは開始10日で100億円が底を尽き、経済を回すだけ回してあっという間に終了しています。

2019年1月

biccamera画像 : 「Appleご注文商品の入荷状況について」より一部抜粋 (2019年1月11日時点) | ビックカメラ
ビックカメラでは全国規模でApple製品が品切れ状態だったようで、ウェブサイトにその入荷状況を随時更新してくれるページが公開されていました。1ヶ月が経過した時点で、私が購入したiPad Pro 11インチ 256GB スペースグレイは12月5日分までしか進んでいません。最も注文が殺到したであろう8日(土)、9日(日)は未だ手を付けられていないわけです。1ヶ月かかっても平日さえ処理できないペースで、9日終盤に注文した自分の番は一体いつになったら来るのか、さすがにこれを見て私も察しました。

なおキーボードについてはJIS版しか掲載されておらず、私が選んだUS版はどこまで進んでいるのかすら不明という状態。JIS版とUS版では国内流通量がまるで違いますので、JIS版の情報は参考になりません。しかしTwitterで検索してみると同じようにUS版を待っている方が少なからず見受けられ、こちらも一筋縄ではいかない状況であることは明らかでした。

さて、ビックカメラから何の音沙汰もないまま50日が経過。こうなると注文が本当に通っているのかどうかという疑惑が徐々に生まれてきます。1月後半、名古屋での諸用ついでに確認のため店舗に寄りました。あの日注文書を握りしめていた右手には、文字の薄れ始めたレシートがしっかり握られています。紙っぺらなんかよりiPadを握りたい思いが、その力を否応なしに強めます。

receipt画像 : 握ったのは嘘
カウンターでレシートを渡し、確認をお願いして数分。裏から戻ってきた店員さんによると、「iPadの準備はできているが、キーボードが未だ入荷時期未定」とのこと。

サイレント入荷の驚きもさることながら、募るのはいつ来るのかまだ分からないキーボードへの不安感。何せこのキーボードはiPadを保護する役割もあったため、これがないことにはフルにiPadを使えないのです。

自宅配送に設定していたために、キーボードが揃わないと発送してもらえないと思っていた私はここで引き下がりました。どうやら個別でも発送できたらしいのですが、この時の私には知る由もなく。新しいiPadを目の前にしつつも、泣く泣く手ぶらで帰宅しました。

2019年2月

そのままずるずる2月に入り、iPadのことを忘れる日もしばしば。


思い出したように愚痴りつつも、もはや無心で待つ日々。2月は進捗がないまま1つ年を取っただけになりました。
なおWebのApple Storeなど、PayPayと関係のないところでは当然このような品薄にはなっていません。『本日発送可』の文字が容赦なく心を抉ってきます。

2019年3月

3月に突入してもビックカメラからの連絡は来る気配もありません。痺れを切らし、こちらから店舗に電話してみました。
購入時の情報を伝え、折り返しでいただいた返答が「iPadの準備はできているが、キーボードが未だ入荷時期未定」という聞いたことのある内容。ところがここで先の事実、iPadのみ別で発送できることを伝えられます。

もうせめてiPadだけでも触りたい私は甘えてしまいました。8日、ようやく片割れが到着します。保護なしのまま持ち歩きたくはないので、とりあえず触るだけ触って初期設定を済ませたら再び箱の中へ。机の隅で相棒の到着を待ちます。

その箱もうっすら埃をかぶり、4月突入を覚悟し始めた10日後の18日、予告なく私宛に紙袋でくるまれた荷物が届きます。包みを手にして感じるやや薄めのパッケージと、それに似合わないずっしりとした重み。キーボードと察するに余りある手応えでした。

注文から98日、待ち焦がれた景色がここに。これらをPayPay Editionと呼ばずに何と呼びましょうか。

ipad-keyboard

「タダより高いものはない」という言い回しがありますが、やはり転がり込んできた耳寄り話にはどこかに罠が潜んでいるようです。まさかPayPayではなく品薄のほうで苦しめられるとは思いませんでしたが。

事前にたっぷり入荷しておいてほしかったところですが、キャンペーンの告知は直前でしたしそれも無理だったのでしょう。量販店の仕組みはよく分かりませんし、そもそも"未定"を了承して注文している手前、ビックカメラを責めることもできません。何週間何ヶ月かかろうと"未定"の範囲内です。責めるなら勝手に濁流へ飛び込んだ3ヶ月前の自分ですね。
1つだけ不満をあげるなら、注文から発送までビックカメラからの連絡は一切無かったことでしょうか。こちらから出向くなどしない限り、状況の把握はできませんでした。

後日談、というか今回のオチ。

阿良々木暦で再生された方は握手しましょう。こちらは北白蛇神社ではない地元の某神社で、1月1日に引いたおみくじ。

omikuji

  • 願望 : 時を待て
  • 商売 : うまい話に注意
  • 待人 : いつか来る

神様って視えてるんですね。"うまい話"まで見透かされてはバーナム効果もお手上げです。
ちなみに私は大吉・中吉は持ち帰り、それ以外は神社に結んでくると決めています。今年は中吉だったため、こうして綺麗に財布の中で伏線となってくれました。

iPad Pro + Smart Keyboard Folio

せっかくですので第3世代iPad ProとSmart Keyboard Folioの所感を簡単に残しておきます。詳細な仕様等は以下Apple公式ページからどうぞ。
iPad Pro

Smart Keyboard

【iPad】120Hzのリフレッシュレート

最初に触れてまず驚くのがスクロール操作の滑らかさ。第2世代から採用されている仕様ですが、私が手にするのは初めてでした。現状iPhoneでは採用されておらず(全て60Hz)、iPad Proだけの特権です。これだけでもかなり満足感がありました。

【iPad】接続端子の移行と廃止

第3世代iPad ProからついにiOSデバイスにもUSB Type-C(以下、USB-C)が採用されました。長らくお世話になったLightningからおさらばです。
それはいいんですが、採用に伴って付属のケーブルも変更され「USB-C - USB-C」となったことで、iPadの接続先もUSB-Cである必要が出てきました。しかし世の主流はまだUSB-A、私が母艦として使っているiMacも当然USB-Aであり、このままでは接続できません。

変更点はもうひとつ、ヘッドフォンジャックが廃止されました。2016年発表のiPhone 7が先行して同端子を廃止しており、それに追随する形になります。この変更、iPadで有線イヤホンを常用する"音ゲー勢"に大打撃を与えました。Bluetoothイヤホン等では遅延が発生するため、どうしても有線にする必要があります。実は私も使い道の7割が音ゲーと言えるくらいで、今まで使っていた初代iPad Airが最近のグラフィックについていけなくなったことが買い替え理由のひとつでした。

結局これらの問題から、以下2つのアダプタ、ケーブルの別途購入を強いられています。

accessories

常に先を行くAppleが作り出す製品は、時に消費者を置き去りにします。今回のiPad Proはまだマシな方で、数年前にMacBook ProのI/Oが全てUSB-Cに置き換えられた際にはかなりの波紋を呼びました。当時の様子は、私がよく参考にさせていただいている瀬戸弘司さんの動画に面白いものがあります。
【変換アダプター地獄】Touch Barで浮かれてる場合じゃねえぞ!これが新型MacBook Proの現実だ!

現段階で私が実感できているUSB-Cの恩恵は、高速充電「USB Power Delivery」くらいでしょうか。体感で分かるほど速いです。付属の電源アダプタは18Wですが、サードパーティ製のものを使えば最大30W程度までいけるそうです。

【iPad】初代Apple Pencilは非サポート

イラストレーターではないので別に痛くも何ともないのですが、新型の登場で初代Apple Pencilが早々に切り捨てられてしまいました。一応初代を持っている身としてはサポートしておいてほしかったです。新しいの買ってね、ということなのでしょう。

【Keyboard】触り心地がとにかく良い

普通のケースでも良かったところ、Apple Storeで試し打ちをした時の心地よい打鍵感が忘れられず、こちらの購入を決断しました。
以前からSmart Keyboardは販売されていましたが、この製品からFolioとなり、iPadを保護する役割も担えるようになりました。別でケースを買う必要はなくなったものの、価格もそれ相応に上がっています。

keyboard
キー部分は1枚のファブリック素材で覆われ、多少の水をこぼしても大丈夫そうな見た目です(公式に防水とは言われていません)。表面がつや消しのようにざらついているおかげで、指紋が目立ちません。このざらつき加減の感触がまたすごく良い。

そして絶賛した打鍵感ですが、ストロークは浅いもののしっかりとクリックがあり、キーを叩いている感覚は十分に伝わってきます。素材の関係もあってパタパタと小気味よい音が響き、これが本当に気持ちいい。とにかくこれに限っては触ってみてくださいとしか言いようがありません。

ただ11インチモデルはフルサイズでないため、若干窮屈に感じることは否めません。それでも長文を書く時はMacを使いますし、あくまでサブとしての用途であれば気にならないレベルだと思います。

【Keyboard】ペアリング・充電は不要

Smart Keyboard FolioはBluetoothではなく、iPad背面のSmart Connectorに接触する形でつながっています。ペアリングは当然必要ありませんし、コネクタ経由でiPadから常に給電されますので充電作業も不要です。外付けキーボードでありながら一切の世話を必要としないのは、純正ならではの大きな特長と言えます。

【iPad + Keyboard】総評

私が数週間使用して思うところは以上です。
初代iPad Airユーザーが5年分の進化を遂げたiPadを持ったわけですから、性能に文句のつけようはありません。やはりUSB-Cやヘッドフォンジャックなど、今まであったものが置き換わったり廃止されたりしたことへの戸惑いが大きいです。なお一番の変更点とも言えるホームボタンの廃止については、iPhone XSのおかげで迷うことなく順応できました。あれほど騒がれたのに慣れって怖いですね。

folio_side
キーボードもおおむね満足ですが、iPadに装着した時の弱点がひとつありました。ケースではなくフォリオですので、閉じた状態でもiPadの三側面、及び四隅がむき出しになります。手で持ち歩くことはそうそうありませんし滅多に落とさないとは思いますが、人によってはマイナスポイントになりそうです。同時に別のケースやバンパーをつけることはできません。

おわりに

先月はAppleから予告なく新製品が発表されたり、スペシャルイベントが行われたりで、私も情報を追いきれていません。今のところはイベント内で発表されたApple Cardに魅力を感じています。もし日本上陸となれば検討したいですね。

また私がiPadを待っている間に、煽るようにしてPayPay祭りの第2弾が始まっています。今回は日常の買い物のような少額の支払いが主な対象ですので、第1弾のようなことにはなっていないようです。私もどういうわけかPayPay残高が2万7千円も貯まっているので、これから存分に消費させていただこうと思います。

最後にこちら。
icons
PayPayとビックカメラのロゴ、似過ぎでは。色使いも文字の形状も言い逃れできないレベルだと思うのですが、よくビックカメラから物言いがつかなかったものです。
ロゴの上に背景色のカラーコードを記載しておきました。一見すると分かりませんが、PayPayが純粋な赤(#FF0000)、ビックカメラが少し暗い赤(#EB0000)を使っているようです。

では、皆様も良きキャッシュレスライフを。またお会いしましょう。